COLUMNS誕生山の隠れ洞  喪山伝説 - 12月9日 -
 『こは美濃国の藍見川(あいみがわ)の川上なる喪山という山なり』−古事記より

 高天原の天照大神(あまてらすおおみかみ)は空から日本の国をみて子孫に治めさせようとしますが、なかでも出雲の国はよく穏やかに治まっているようなので出雲の国を譲るよう使いの神を送ったけれどいつまでたっても使いのものがもどってこない。出雲の国は大国主命(おおくにぬしのみこと)という徳のある神が治めていたので使者は心服して住みついてしまっていたのである。
 つぎに天若日子(あめのわかひこ)という若い神を弓と矢をさずけておくった。ところがこの若い神も大国主命が治める出雲の国が住心地良くなってしまい、さらに大国主命の子の下照姫(したてるひめ)と夫婦になってしまった。そうなるともう大神のお使いのことなどどうでもよくなり、楽しい生活をおくるうちに八年にもなってしまった。
 高天原のほうではそのごの様子がわからないので、今度はナキメという雉(キジ)を使わすことになった。ナキメは出雲の国にまいおり、天若日子の家の門のそばのカツラの木にとまって、大神からおおせつかったことを鳴き続けた。天若日子はいまの自分のことを知らされるとこまるので、大神からいただいた弓でナキメをめがけて矢をはなつと、矢はナキメの胸をつらぬきそのまま大空に飛び高天原までとどいてしまった。
 大神は矢についた血をみて、「若日子が射たものにあたれよ!」とばかり地へむけて強くはなった。矢は若日子の家へめざし、ちょうど寝ていた若日子の胸に突き刺さってしまい死んでしまった。
 若日子の父はそれを伝えきき地におり、死人をねかせておく「喪屋(もや)」という小屋で若日子を見送ることに。そこへ下照姫の兄で高日子根神(たかひこねのかみ)といかたがお悔やみにきた。ところがその神のお姿が、若日子にそっくりであったので、若日子の父は生きていたとまちがえ、よろこんで高日子根神に取りすがってしまった。そのころ死人はけがれたものとして、そばへよることさえ嫌われていたので、高日子根神は怒って、喪家をけりあげ飛ばしてしまった。飛ばされた喪家はやがて地に落ちて山となった。それがこの喪山と云うわけです。
 天若日子ら一行が葦原中国(あしはらのなかつくに)、つまり天からみて地上のこと(ちなみに地下を黄泉の国)、を支配せんがために使わされ降りた地が、ここ誕生山であり四方から見られない隠れ洞を拠点とした云う。出雲はこの中つ国を代表する地であったことも云い添えておきます。
『飛騨と美濃のむかし話』(岐阜県小中学校長・編)より



COLUMNS近春にあたって・・  - 4月24日 -
 山座も380を超えるにあたって、今年から電車・バス等による山歩きに徹したいと考えます。長年の自然への「お礼」の意味をも兼ねて・・。不便、労苦が増えますが、自然をボチボチ歩きたいと思います。


COLUMNS晩春の城下町岩村を歩く  岐阜県恵那市岩村 - 2019/5/20 再録 -
2016/5月、城山・水晶山・三森山
岩村城址から岩村盆地を囲む山稜を漫歩する明知鉄道推薦の山旅






COLUMNSGPSのこと  −5月5日/2019年
この初春、ヤフーのオークションで中古のGPSを求めた。ガーミン製オレゴン450です。
 5,6年前販売の機種で英語版、お金は送料共で2万を少し切ったほどです。前の持ち主の方がコマンドを日本語化されていて使用には問題がありません。むろん収められている地図は英語表記でしかも大雑把で参考程度しか読めませんが。
 カシミール3Dで国土地理院の山地図をカッターしてGPS機にインストールしています。地図はそれなりの枚数がはいりまが、メインメモリーが少ないせいか地図容量が4Mを越えると表示が切れたりします。一泊ほどの山行きまでなら問題ないでしょう。単3乾電池2本で連続6,7時間は作動しますが、念のため予備の電池も持っていきます。機能についてはいまさら言うまでもないことですが、すばらしいの一言です。
 当地に着き電源を入れ地図を開くと数分後には自分の位置がわかります。歩き始めると追いかけるようにモニターの矢印が動き進んでる方向がわかります。はじめてのかたなら驚くこと必至でしょう。これなら道の記載がある地図でしたら迷うことはまず無いでしょう。また地図が読めるかたでしたら道の表示の無いところでも見当をつけて進むことができます。もろん間違えても戻ればすむことです。あとは自分の意志と体力の問題です。すでにGPSを使用している方でしたら実践されていますでしょうから、私の驚きは笑止やかもしれません。
 齢、すでに60を越え今更ながらこの文明の利器を知り遅れて笑い出すばかりです。今までの山行きで、あのときGPSを持っていればあんな不安など抱かなかったなど、思い出すと10年は時に遅れていたなどと振り返ります。 もっとも機械のことですし中古でもあるのでいきなり作動しなくなるなんて事態が起こるやかもしれません。地図とコンパスは今までどうり持ちますが、コンパスは活躍の場が極端に少なくなるでしょう。少なくとも後5年は保ってもらいたいものです。山歩きに必携とまでは言いませんが、少しでも不安がある山とか、ましてや単独でお初な山を歩くときは心強い味方となります。
 わたしはスマートホーンを持ち歩きません。先日、ある里山でトレイルランナーと出合い、彼はスマホの地図アプリで行程を見せてくれました。機能はGPS専用機と変わりありませんが、フリーの地図のためかとても大雑把な地図表記でした。トレイルランナーでしたらあれで充分でしょう。さらに彼は腕に走行距離や高度などがわかる器具を巻いていました。
 時代はドンドン便利になっていきます。アクセスがそうです。かってならとても日帰りできなかった山行きが、今では車を利用すれば当たり前のようにそれが可能になりました。それだけ人は自然に無頓着、横暴になりました。けれど歩くことだけは昔も今も変わりません。
 自然派岳人を標榜するわたしは今日も電車やバスの時刻表とにらめっこしています。

ーGWのなか自宅でー


yubi山のコラム目次です。
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