木曽古道 -木曽ヒノキのまち・上松よりちょっと【化石的な道】を歩く-

 駒ケ岳山麓を木曽川にそって三留野(現在の南木曽)から木曽福島に通ずる道を江戸時代以降の中山道と区別し古道と称します。この古道筋の集落として、東野・吉野・徳原・川上・原野がある。原野と木曽福島の間、上松から倉本までの山道は地元の整備もあり残っている。前者は御嶽山がよく見える木曽見台があり駒の湯へ通ずる遊歩道が整備され、後者は上松町の尽力で道標も随処に設けられ、また風越山登山口も半ばにあり古道好き者の足を誘う。
 今回は上松駅よりこの『化石的な古道』を歩きます。

 駅前から上松小学校へ向かう。小学校四辻に道標有り。国道19号線上の陸橋を渡り吉野橋へ。手前に初夏の「古宮の太々神楽」で知られる駒ヶ岳神社へ上る道があります。滑川に架かった吉野橋から麦草岳や駒ケ岳とともにススキの原から御嶽が望まれる風越山を見上げつつ吉野集落へ入る。バス停・吉野上を右折し舗装切れから山道へ足を入れる。
 「これより木曽古道」の道標をみて左に折れしばらく行くと山側に次の道標にあう。「風越山登山口」からいよいよ道は登りの踏み跡となるが林の中のしっかりした山道です。体が熱くなるころ林道に飛び出ます。十年以上まえにこの歩道を訪れた時は砂利道だったと記憶していたが現在は舗装されていました。木の梯子を上がり再び樹林の中をゆく。ヒノキの植林地をずんずんと登ってゆくとひょいと再び林道に出る。ここはかって鷹鳥屋(たかどや)登山口と呼ばれ、風越山へは二時間もあれば登れます。
『自然保護なんか糞くらえ』とばかり躊躇しない登山者はここまで車を乗り上がります。あたりは錦繍の雰囲気がただよい旅人の足を止めさすが、すでに昼もとっくに過ぎまだ行程も半ばも終えぬゆえ足早に通り過ぐ。
吉野橋から
 上松・吉野橋より中央アルプス駒ヶ岳を望む、手前は風越山
< 交通アクセス >
電車JR名古屋駅AM08:45発 → 上松駅AM10:50着 運賃:2270円
JR倉本駅PM17:15発 → 名古屋駅PM19:57着 運賃:1940円

<コ−スタイム > 歩行時間:4時間20分
shoesJR上松駅 →(40分)吉野橋 →(20分)「これより木曽古道」 →(30分)風越山登山口 →(20分)展望台(1119m) →(20分)林道吉野東野線横切り →(25分)砂防堰堤 →(30分)林道 →(5分)東野阿弥陀堂 →(40分)国道19号線 →(30分)JR倉本駅

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1.0q先に「風越山登山口」

4木曽古道
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1999年風越山登山ではここに駐車

3吉野集落
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幾多の石仏、左は庚申塚かな。

2吉野にて
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木曽古道は上松から

1上松小学校
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唯一の展望ヶ所、晴れていたらもっと御嶽が・・

8標高1119m
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こんな岩畳ふうな道もありました

7再び古道へ
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時間が許したらススキの原まで上りたかった・・

6風越山登山口
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林道の梯子を上り、さらに進みます・・

5檜植林地
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薄暗い崖道をロープをたよりに・・

12崖を巻いて
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降りて対岸を見きわめて・・

11堰堤
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アカマツ林のなかのササの海をゆく

10ササ原
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ここから先の古道は健脚コースです

09再々度林道
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駆け足でしたが、満足な山旅でした。

16JR倉本駅
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夕刻真近の糸瀬山残照

15国道に戻る
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国宝らしいです、傾いています!!

14東野阿弥陀堂
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ほっとしました、この風景をみて

13東野にでて
 三たび山道へと入り高低差の少ない覚束ない踏み跡を進む。濡れた岩を踏みつつ上がると標高1119mの小さな峠に上がる。マツの大木のもとに朽ちた木のベンチが置かれ、西方に目をやると台ヶ峰の後ろに御嶽が秋空に映えていた。雲がかかっていてちと悔しい。
 展望を楽しんだら南へ急坂を下りガレ谷を渡り踏み跡を谷沿いに降りてゆく。やがて右手下に林道が見えてくる。林道に降りた処に「中部北陸自然歩道(木曽古道)」道標があります。林道の反対側を見ると文字が読めないほど朽ちた木板が下草に覆われていた。古道が切られていることを知らないと林道を東野まで歩くやかもしれない。(東野まで1.3q)
 草をかき分けて入るとはっきりした道があらわれます。アカマツ林の中は一面丈の低いササの海が続いています。足元に気を配りつつ古い道標と新しいそれが立つ処を左に折れ緩やかにササの海を下っていく。ヌタ場をすぎると水の落ちる音が聞こえてきます。砂防堰堤の下に出てはたと立止まる。沢は浅く狭いゆえ渡るのは難なくが対面は崖である。まさか赤茶けた崖を登ることはないとおもい、少し下の堰まで下るとくすんだリボンが木に垂れていた。堰の肩手から山道が見え安堵する。ここからが今日一番の難所が続く。
 谷沿いに崩れかけた崖道を巻いてつたいますが、踏み跡が緩くややもすると沢ほうへ重心が傾きがける。危険なヶ所にはロープが張ってあるので片手につかみつつ慎重に渡り進んでゆく。カメラに収めようとするが手が震える。渡りきり東野集落が見える草地に出てもまだ胸がドキドキしていた。ここにも木曽古道道標が立つ。
東野集落walk村道から東野阿弥陀堂までわずかな歩きです。数えるほどの集落の中に木曽路で一番古いという阿弥陀堂が建っていたが、いささか気落ちした。国宝とのことゆえそれなりの趣きがあるかと期待していたが、鉄骨家屋の中に鎮座するお堂はだいぶくたびれていた。時計をみると予定よりだいぶ時間が過ぎていた。ここから古道は萩原沢を渡り国道に出ますが、沢の水量が多く徒渉できないこともあるとのことで、ここはためらわずに舗装道を下ることにした。駅まで5.5q。(古道はお堂わきからお墓のふちを通り竹藪の中を下ります。相当な急坂で竹も折れ散らばっていた。
道路まで戻り時間を気にしながらずんずんと下ってゆく。急ぎ足で国道に下り、西日に照らされた糸瀬山を見上げつつ国道脇の歩道を駅へとむかう。中ア・空木岳や八丁峠への登山口であるJR倉本駅は無人駅ですが、山旅の終りを迎うるに似つかわしい佇まいでした。

←秋景、東野集落 後方は中央アルプス南部

【あとがき】
電車中央西線・ローカル線は、中津川駅以降自動開閉ドアでないため乗客が開きボタンを押さないと乗り降りできません。
当方は失念して上松駅を乗り過ごし、次の木曽福島駅で降車。すぐ上りに飛びのり、何とか遅れは50分で済んだ。
冷や汗ものでしたが、これも列車登山の良い記憶になりました。

指1999年10月風越山登山はこちらから
- 10月17日/2014年
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